敵を愛さないわけにはいかないほどの行き詰まり

敵を愛しなさい! この主イエスのみ言葉の前で困惑を覚え、言いわけしたくなるとき、私たちの前に静かに立つのは、マーティン・ルーサー・キング牧師である。その説教「あなたの敵を愛しなさい」のなかで、キングは、こう言っている。「私どもは、現代に生きて、敵を愛さないわけにはいかないほどの行き詰まりの状態になっているのではないでしょうか」。

加藤常昭、『み言葉の放つ光に生かされ』、343頁

2020年11月20日(金)

「敵を愛することができないほどの行き詰まり」というのならわかりやすいのですが、「敵を愛さないわけにはいかないほどの行き詰まり」というのは、少しわかりにくいことではないかと思います。しかしだからこそ、ここに真理があるように思います。

前者での愛は、自分に余裕のなかで生まれる愛のように思います。しかし後者の愛は、愛さなければ自分自身が滅んでしまう、切羽詰まった愛です。それはもう神さまの愛にしか希望がないという崖っぷちに立たされている者の言葉ではないかと思います。

人間はこのような崖っぷちに立ってはじめて愛に生きる者としていただけるのではないかと思いました。余裕のあるうちの愛は、愛ではないのでしょう。

敵を愛さなければ、自分自身が滅んでしまうのです。

「しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。」(マタイ5・44)