子どもの快復

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子供はひどく汗をかいていたが、脈は力強く打っていた。胸をひらいて耳を押しあて、呼吸を確かめると、喘鳴の音がほとんど消えているのがわかった。芥子の湿布が利いたのだ。熱はまだ残っているが、どうやら危機を脱したようだった。

登は立って行って、嘉吉の女房を揺り起こした。女房ははじかれたように起き上がると、取り乱した口調で言った。

「どうしたんだろう? あたし、眠ってしまった」

「心配ない。子供の汗を取って着がえさせてくれ」

登が言うと、女房はいそしで子供のそばに寄った。その母親を、子供がみていた。

「おつぎ、おつぎ」

嘉吉の女房は呼びながら、子供を抱きしめると、忍び泣きに泣きはじめた。よかった、と繰り返した。子供はきょとんとした眼で、今度は登を見ている。

藤沢周平、『愛憎の檻』、「奈落のおあき」、講談社文庫、1984年11月15日発行、202ページ

処置が送れて死にかかっていた子どもが登と叔父の適切な治療で快復していきました。子どもが快復するところは目頭が熱くなります。

子どもが死ぬニュースが今日も流れていました。悲しいです。

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