静まりの時 2022年6月10日(金)
使徒2・37~42
「人々はこれを聞いて心を刺され、ペテロとほかの使徒たちに、『兄弟たち、私たちはどうしたらよいでしょうか』と言った。
そこで、ペテロは彼らに言った。『それぞれ罪を赦していただくために、悔い改めて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます。この約束は、あなたがたに、あなたがたの子どもたちに、そして遠くにいるすべての人々に、すなわち、私たちの神である主が召される人ならだれにでも、与えられているのです。』 ペテロは、ほかにも多くのことばをもって証しをし、『この曲がった時代から救われなさい』と言って、彼らに勧めた。
彼のことばを受け入れた人々はバプテスマを受けた。その日、三千人ほどが仲間に加えられた。彼らはいつも、使徒たちの教えを守り、交わりを持ち、パンを裂き、祈りをしていた。」
(使徒2・37~42、新改訳2017)
聖霊が降臨し、使徒たちはユダヤの人びとに向かって説教をはじめました。ペテロは他の11人とともに立ち上がり、旧約聖書からはじめて主イエスさまの十字架の福音を語ります。人びとはこれを聞いて心が刺されました。「兄弟たち、私たちはどうしたらよいでしょうか」。
どうしたらよいか分からない。これが福音をまっすぐに聞いた人たちの反応でした。人間は神さまの義と愛に出会ったとき、どうしたらいいか分からないのです。そのどうしていいか分からない心をそのまま使徒たちのところへ差し出すのです。
するとペテロは語ります。「それぞれ罪を赦していただくために、悔い改めて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい」。洗礼は悔い改めとセットです。悔い改めのない洗礼には意味がありません。しかし洗礼は単なる儀式ということでもありません。ペテロは続けて語ります。「そうすれば、賜物として聖霊を受けます。この約束は、あなたがたに、あなたがたの子どもたちに、そして遠くにいるすべての人々に、すなわち、私たちの神である主が召される人ならだれにでも、与えられているのです」。洗礼によって「聖霊の賜物」を受けることになる、とペテロは語りました。
ペテロの言葉を聞き、それを受け入れた人たちは、洗礼を受けました。その日は三千人ほどが受洗し、聖霊降臨によって生まれた教会の仲間に加えられました。洗礼を受けるということは、教会の仲間に加えられるということでもあるのです。信仰は個人的な信仰告白によるものですが、それは決して個人主義的なものではありません。教会はおのずと教会員籍を整えることになります。教会における会員制度は、組織の必要上便宜的に行われているのではなく、そこには信仰的な意味があるのです。
この洗礼を受けた人たちは、ペテロの語ったように聖霊の賜物を受けることになりました。彼らは「いつも、使徒たちの教えを守り、交わりを持ち、パンを裂き、祈りをしていた」といいます。聖霊の賜物を受けるということは、共同体の中にある具体的な信仰生活と深く結びついていきます。
「使徒たちの教えを守り」。旧約聖書に語られた教え、ということではなく、ここにはじまった新約聖書の教えによって共同体的信仰生活が前進します。洗礼教育、各種信条が整えられていきます。教会に起こるさまざまな問題への対応から教会の制度が整えられます。異端的教理への対応からあらためてキリスト教の教理が整えられます。各種会議が行われていきます。こうして教会は前進していきました。
「交わりを持ち」。コイノーニア、という言葉がここに登場します。教会は交わりを大切にします。それはイエスさまとの交わりであり、同時に兄弟姉妹との交わりです。交わりというと、何かの目的のための交わりを考えやすいものですが、教会では交わりそのものが目的でした。
「パンを裂き」。愛餐と聖餐。ここではことさら聖餐を大切にしていたということです。キリスト教会は、あのペストの時代も聖餐(ミサ)を大切にしたというのですから、聖餐に対する思いにはすさまじいものがあります。近代科学の時代を迎えて、このコロナ禍ではそういうわけにはいきませんが、聖餐を大切にする心は忘れてはならないと思います。
「祈りをしていた」。教会の交わりは祈りの交わりです。いつも心をイエスさまに向けているのです。ともにイエスさまに向かっている交わり、それが教会なのです。この三千人はことごとくユダヤ人ですから、もともと祈りを知っていた人たちです。しかし聖霊の賜物を受けたときから、イエスさまのお名前によって祈る者となりました。また交わりの中で祈るということが、「アーメン」(その通りです)という言葉の習慣化をすすめたのでしょう。
この四つのことは、教会が教会であることの大切な要素なのだと思います。時代とともに礼拝スタイル、教会生活は変化する部分を持っているのだと思いますが、この四つはいつまでも変わることがありません。