●牧師の机~魂への配慮の歴史より(9)◎自分と同じ者

「自分が非難する兄弟を自分と同じ者と見なすことができるように」
(大グレゴリウス 540-604)

 裕福な環境に生まれ32歳でローマ市長官となったグレゴリウス(区別のために大グレゴリウスといいます)。市長官とは民事、刑事いずれの裁判権、支配権、警察権を支配する職務です。町の大統領みたいなものですね。すごい権力です。しかし3年ほどで辞め、世俗の生活のすべてを捨て、7つの修道院を建て、修道士の共同体を作り、自分もそこに入ってしまいました。そうして修道院生活を15年ほど過ごしますが、ペストで時の教皇が死去すると、その後継に選ばれます。教皇職を引き受ければそれまでの黙想一筋の生活が終わるのでグレゴリウスは固辞し引きこもります。しかしローマ皇帝の同意も重なり、聖職者たちや民衆はグレゴリウスを探し出し、捕まえて、力づくで教会堂に運び込んでしまいました。こうして教皇としての任職を受け死去までの14年間際立った働きをしました。ちなみに「グレゴリオ聖歌」の創始はこの人ではないかとの説があります。
 さてこの言葉。グレゴリウスは、過ちに対してはものすごく厳しく指摘しましたが、それでいて、過ちを犯したその人そのものを否定しないようにつとめたそうです。罪を憎んで人を憎まずです。非難している時、その人も自分と同じ人間なんだ~という感覚を失わないことですね。


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