ロンは教会に復帰して、生き方を改めることを真剣に考えていた。心の底には、神とイエス・キリストを深く信仰する気持ちがあった。子どものころに覚えた聖書の文言や大好きなゴスペルソングを忘れることはなかった。落ち度も欠点もあったが、自分の原点に立ちもどりたくてたまらなかった。自分の生き方への罪悪感にしつこくつきまとわれていたが、神聖にして永遠なる完全な赦しをイエスがもたらしてくれることを信じていた。
ジョン・グリシャム、『無実』(上・下)、ゴマブックス、2008年3月10日発行、266ページ
ジョン・グリシャムのノンフィクションです。無実の罪に訴えられ死刑判決を受け12年間刑務所暮らしをし無実とされた男性の物語。事実ということが圧倒的な迫力でした。中心人物のロン(ロナルド・キース・ウィリアムスン)は1953年生まれ、1988年に、不当な有罪判決を受け、1999年4月15日に、潔白を証明されたそうです。この本によるとごく初期の段階から無実であるという証拠があるにもかかわらず、当局の一方的な操作でロンとデニス・フリッツは有罪にされてしまいました。フリッツさんの方は無罪後平安の生活を送っておられるようです。しかしロンさんはなかなか難しかったようです。若くして肝硬変で亡くなられることになりました。
上記は無罪判決後のロンについての文章です。必死に社会復帰しようとしている姿がうかがえますが、その支えが信仰であったことが記されています。実は、無罪判決を受けた後に家族で通った教会に行くのですが、そこで牧師や教会員に有言、無言の冷たい仕打ちを受け家族ともどもその教会に行かなくなったようです。職業柄、ロンを取り巻く牧師、教会関係者の動向は考えさせられるものがありました。
人をうわべで判断してはいけないと思いますが、どうしてもそうなってしまう悲しい現実があります。そのような厳しいなかにあってもロンの信仰は全く揺らぐことがなかったのですね。ロンはゴスペルソング「アイル・フライ・アウェイ」と「ヒー・セット・ミー・フリー」が大好きだったそうです。一度礼拝か何かで歌ってみたいと思いました。