私は、語りかける声の主を見ようと振り向いた。(黙示録1・12)

  • 心配しない

    「心配なのはよくわかる。建てた者が、たしかに建物の弱みを一番よく知っておる。だがな、建ててしもうた後では、もはやどうにもならぬ」
    「それはそうじゃが」
    「ならば忘れろ。ここまで、できる限りのことをした。天下一の柱を見つけ、天下一の腕で組み上げた。これ以上できることは何もない。この天主は、わしそのものだ。倒れるなら、わしもいっしょに倒れる。それだけのことだ」
     父親の言葉が、やけにさっぱり潔くひびいた。

    山本兼一、『火天の城』、文藝春秋、2004年6月15日発行、286ページ

    心配してもはじまらないことを心配するのが人間ですね。しかし心配してもどうすることもできないのですから、神さまに委ねてしまいましょう。