私は、語りかける声の主を見ようと振り向いた。(黙示録1・12)

  • 死人はいらない

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    「この二人をおいていってもらいたい」

    男はすぐには答えなかった。私をしばらく見つめ、訊ねた。

    「何、考えとんのや」

    私は首をふった。

    「何も、別に何も考えてはいない」

    「助けたろ、いうんか。助けらた、また命、とりにきよるで。おおきに、ありがとうございました。二度ときいしません、そういう、思うとるんか」

    「わからない。だが死人はいらない」

    大沢在昌、『心では重すぎる、下』、文藝春秋、2004,450ページ

    佐久間は二人組に殺されそうになりました。すんでの所で関西からやって来たプロに助けられます。プロたちはこの二人組を始末しようとしますが、佐久間は殺さないようにと願いました。

    別に何も考えていないけれども、死人はいらない、ということですね。こういうことが命を大切にするということにつながるのかもしれません。命を大切にするのに理由などないのです。