日別アーカイブ: 2017年5月14日

めぐみのパンくず

主はその母親を見て、かわいそうに思い、

「泣かなくてもよい。」と言われた。”

  ルカの福音書7章13節

◎ルカだけが記している、ナインのやもめの話です。ナインとは「愛らしい、楽しい」いう意味の名のついた町です。やもめと一人息子のうるわしい関係が表現されているような町の名です。この町でやもめの一人息子がなくなりました。しかし、葬儀に列が続くその場に、イエスさまが来られたのです。

◎悲しみにあふれた葬儀の場で、イエスさまは尋常でない言葉を二つ、しかも命令形で語りなさいます。「泣かなくても良い」「青年よ、あなたに言う、置きなさい」の。どちらも命令形で強い言葉です。

◎誰が他人の葬儀で泣いている人々に向かって「泣くな」などと言えるでしょうか。最愛のものを失った人に寄り添い、共に涙を流すこと以外できないはずです。しかし、イエスさまは死を克服できる方として、命令されたのです。

◎その命令の言葉が、死人に向かって「起きなさい」とまるで眠っている人の目をさまさすように。ラザロを生き変えさせられた主を思います。イエス様にあっては、死んだのではなく眠っているのです。キリスト者のよみがえりの希望です。

◎この二つの言葉を語られる動機がありました。母親に対する強烈な同情です。「かわいそうに思い」とありますがその意味は断腸の思いです。内臓からの怒りと悲しみです。このような思いをもってやもめを見られたイエスさま。母と子に、目を注いで下さっていること忘れずに。