桐野夏生、『OUT アウト』

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背中でドアが閉まったのなら、新しいドアを見つけて開けるしかない。風の唸りにも似たエレベーターの昇って来る音が、すぐ側でしている。(桐野夏生、『OUT アウト』、講談社、1997年、447頁)

 時間は刻々と進んでいます。自分の思い通りに前進している時もありますが、多くは自分の思いではない形で前進したり、思いがけない出来事、予想していなかったことに躊躇する間もなく流されていくのではないかと思います。よく考えて判断したつもりが後で考えてなんであんな風に考えたのだろうとか、あのように答えてしまったのだろうか、と思い悩みます。できることならテープを巻き戻すようにやり直しがきくならばよいのにと思います。しかしきっとそうして選んだ道であってもまたくよくよと悩むのだろうとも思います。背中でドアが閉まってもなお過去に思いが引きずられています。

 しかし背中でドアが閉まったならば、新しいドアを見つけて開けるしかないのでしょう。新しいドアはあるのでしょうか。

 過去は変えることができないけれども将来は変えることのできる可能性に満ちています。過去を見てくよくよすることをやめましょう。前を見ましょう。そこに新しいドアが必ずあります。

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