●奇跡の一年(2)

 美術の授業の中で素描というテーマがあります。たいてい年度のはじめに取り組みます。素描の中で比較的短時間で描き上げるものをクロッキー、時間をかけて取り組むものをスケッチ、さらに何日もかけて正確に描き写し取るものをデッサンと、便宜上分類しています。
 学生の時に取り組んだクロッキー、デッサン、スケッチは、課題のための作業でもあり修行のような時間で決して楽しみといえることばかりではありませんでしたが、今となっては良い思い出です。今回少しですが子どもたちと共に学ぶことができました。
 素描によって学ぼうとしていること、それは「ものの見方」です。ある日本画家が、大人に犬を描けというと必ず四本足になる、けれども子どもに描かせると見たとおりに描こうとする子どもは平気で3本足の犬を描く、と言っていました。なまじ知識があるとその知識が先行して見たままを描くことは難しいものです。素描の取り組みによって、知識を超えた観察力、先入観を取り除いた素直な目を養うのです。
 これは美術のお話しのようで、少し人間関係について考えさせられます。私たちはいろいろな知識があるので様々な先入観をもって人を見ます。あるいは偏った知識によって色眼鏡をもって人を見ます。結果、社会にいろいろと息苦しさが生まれます。
 素直な目で人を見るためには訓練が必要です。神さまにある信仰をもって見るという訓練が必要ではないかと思います。


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