●『今日のパン、明日の糧』(ヘンリ・ナウエン)より(37)

「これまでの旅の数々が、私たちの最後の旅の前置きとなっていると考えてみることは、死について考える時役に立つかもしれません。」

 すべての人は母親の胎内から生まれ出た時に大きな変化を経験しました。ほとんど無意識の中でのことではありますが、その大きな変化をすべての人は立派に乗り越えてきました。成長のごとに大小さまざまな変化を乗り越えてきました。学業を終えて社会に出た時、結婚の時、時折襲う病気やそれに伴う入院。さらには長く務めた仕事を退職した時と、いろいろな変化を経験します。つねに期待と不安の入り混じった中にその変化の時を過ごします。ナウエンは変化を乗り越えて新しく前進することを「旅」と呼んでいます。私たちはみなさまざまな道を期待と不安の中に前進する旅人なのです。
 人生には最後に死への旅が待っています。しかしこの旅だけは期待と不安の中ではなくただ不安の中に進む場合が多いのではないでしょうか。そんな時、今まで経験してきたさまざまな旅を思い返してみましょう。それらはみなこの死という最後の旅の前置きであり準備であるとナウエンは語ります。人生のさまざまな変化、旅をよく生きることで、死のよい準備が整えられていくのです。よい死を迎えるためには、今のこの時をよく生きることが大切なのです。


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