●デボーションからの黙想(31)~ボンヘッファー『主のよき力に守られて』より◎悲しみが喜びへ

「感謝によって思い出の悲しみは静かな喜びへと変えられていく。」
(ボンヘッファー、『主のよき力に守られて』より)

 小学生の時に伯父が事故で死にました。伯父の子ども(私にとってはいとこ)たちが亡骸を前にひたすら泣き悲しんでいました。私は死の圧倒的な非情さを子ども心に感じていました。死の悲しみは、故人との関係の度合いによっていろいろですが、深い愛の関わりの中にあった者の死は生きる希望をも失わせてしまうほど深いものがあります。
 この別離の悲しみを乗り越えるには、しっかりと悲しむことが大切だといわれますが、それとともに数々の思い出に感謝することによって、悲しみは静かな喜びへと変えられていくのだ、とボンヘッファーは語ります。
 愛する者を失うと、さまざまな思い出がよみがえります。そのなつかしさに心を痛めることもあるでしょう。しかしその思い出の一つ一つを感謝していくと、悲しみは静かな喜びに変えられていくのです。そうして悲しみや悼みを克服していきます。克服できない悲しみはありません。
 牧師はいくつもの死に立ち合ってきました。思い出が多いほど、悲しみが深いものですが、数々の思い出を、故人への感謝、そして何よりも神さまへの感謝に導いていただき、悲しみは静かな喜びに変えられていきました。


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