●牧会の机~魂への配慮の歴史より(27)◎神にお返しする

「神からあなたが得ているもの、それは頂戴してしまったのではなく、貸していただいているだけなのです。」
ハインリヒ・ミューラー(1631~1675)

 バルト海に面する北ドイツの都市リューベックに生まれ、その東に位置するロストックにて集中した人生を生き抜く。聖マリア教会主任牧師、神学教授。当時の形式的な宗教行事を批判したことから世評を集める。20世紀ドイツの軍人で、唯一逮捕されず死亡も確認されていない同名のナチ党指導者がいますが別人です。
 さてこの言葉。著書「愛する家族を失った人々を支える慰めの根拠について」の中の一文です。かけがえのない愛する友を失ったとき牧師も嘆きます。しかしその愛すべき友はもともと神さまのものだったということをわきまえなければならないと語ります。神さまは私たちに属する者を取り上げられたのではなく、ご自身に属する者を返してほしいと求められたのです。私たちも誰かから貸してもらっていたものを、それが役に立っていたとしても、返してくれと言われたら、喜んで返すでしょう。私のものでなく、その人のものだからです。
 正しく愛するためには「頂戴してしまったものではなく、貸していただいているだけ」との確認は大切かも知れません。罪人である私たちの不完全な愛は時に共依存の泥沼に落ち込み自分も相手もを滅ぼしてしまいます。神さまから一時的にお貸しいただいているのだ、いつか必ずお返ししなければならない、とわきまえていましょう。健やかな人生の秘訣です。


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