●牧会の机~魂への配慮の歴史より(22)◎謙遜と真理

「謙遜とは、真理のなかに歩み入ることです」
アヴィラのテレジア(1515~1582)

 スペインのアヴィラで生まれたテレジアは20歳代で女子カルメル会修道院に入り「十字架のヨハネ」とともに修道院会改革を行い生涯14の修道院を創建しました。1970年に女性としては初めて当時の教皇パウロ6世によって「教会博士」の称号が与えられました。
 謙遜とは何でしょうか。広辞苑によると「控え目な態度で振舞うこと。へりくだること」とあります。言いたいことがあっても控え目にして言わないことでしょうか。たとえ高慢な心があったとしてもそれをおもてに出さないことでしょうか。どうせ自分なんかつまらない人間なのです、と自己卑下することでしょうか。
 テレジアは謙遜とは「真理の中に歩み入ること」(『霊魂の城』第6巻10・8)であると語りました。この場合、真理とは自分自身の真実の姿を知るということです。自分とはいったい何者か。いかに弱くみじめな存在であるか。
 完全な人間はひとりもいません。私たちは大なり小なり心の穴をもっています。その穴埋めをするために人は語り行動します。自分の価値観を見出せない人は一所懸命自分の価値を確かめるためにオーバーワークをします。愛の実感のない人は愛されているかどうか隣人に試し行動を起こします。オーバーワークは自分を滅ぼし隣人への試し行動は人間関係を破壊します。自分自身がどのような「穴」を持っているかを知らずに生きると自分も隣人も生きづらくなります。あなたは今生きづらくないですか?
 自分を知ること。自分の言動を振り返ること。それは謙遜なくしてできません。本当の自分を知る謙遜の旅に出かけませんか。


投稿日

カテゴリー:

,

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください