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ハラスメントチェックリスト

ここ数年、教会内でのハラスメントついて牧師会でもセミナーを開いたりして学んでいます。

最近出た本ですが、

(高嶋直人、『公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書』、ぎょうせい、2020年)

ここにパワハラの定義とパワハラ、セクハラ、マタ(パタ)ハラ、チェックリストがあったので投稿しておきます。

パワハラの定義1 「職務に関する優越的な関係を背景とした」とは?

「優越的な関係を背景とした」言動とは、「業務を遂行するに当たって、言動を受ける職員が言動を行う職員に対して抵抗又は拒絶できない蓋然性が高い関係を背景として行われる」言動を意味する
37頁

常に上司が優越的な関係にあるとは限りません。パワハラの定義の「優越的な関係」には、同僚や部下が優越的である場合も含まれることに注意が必要です。そして、そのことは、パワハラ防止研修の受講対象者を管理職に限定してはならないことも意味しています。

40頁

パワハラの定義2 
「職場の人格や尊厳又は就業環境が害された」とは?

「就業環境が害された」とは、「職員が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、職員の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生ずるなど就業する上で看過できない程度の支障が生ずること」とされています。
 そして、この判断に当たっては、「平均的な職員の感じ方」が基準とされることになっています。
 「平均的な職員の感じ方」を基準とすると言ってもピンと来ませんが、それは、「同様の状況でその言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかを基準とする」とされています。
 「言動を受けた職員が不快と感じ」さえすれば全て「就業環境が害された」ことになるのではなく、パワハラの範囲は自ずと限定され、「社会一般の労働者」つまり「多くの労働者」にとって「就業環境が害された」ケースがどうかで判断するということです。

「受けて基準」の原則は、「自分基準」ではないことを意味します。また。「受け手」さえ同意していればパワハラに当たらないことを意味するものでもありません。

41頁ff

パワハラの定義3 
「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」とは?

パワハラの定義の三要素の三つ目は、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」です。これは「社会通念に照らして、明らかに業務上必要性がない、又はその態様が相当でないもの」と指すとされています。
そして、具体例としては、次のものが示されています。
・業務上明らかに必要性のない言動
・業務の目的を大きく逸脱した言動
・業務を遂行するための手段として不適当な言動
・行為の回数、行為者の数など、その様態や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動

この要素を理解するには、社会通念上「指導の範囲」と言えるかどうかがポイントとなります。そして、具体的な判断に当たっては次のような要素を総合的に考慮することが適当であるとされています。
・言動の目的・内容・程度
・言動を受けた職員の問題行動の有無
・言動が行われた経緯や状況
・業種や業態
・業務の内容・性質
・言動の様態・頻度・継続性
・職員の属性や心身の状況
・行為者との関係性
つまり、様々な要素を総合的に考慮すべきであって、ここにあげた要素から切り離して一度の言動だけで判断すべきではないとされています。ただし、これらの要素は、あくまで総合的な判断をする際の要素に過ぎないということにも注意が必要です。例えば、言動の目的が真に必要な指導であるなど、このうちの一部の要素がパワハラに当たらないと判断されたとしても、それだけではパワハラに該当しないということにはなりません。これらの要素は、あくまで総合的な判断をする際に考慮すべきものの例示に過ぎないのです。
注意点は、次のとおりです。
・業務遂行と言動との間に整合性がない場合は、パワハラになり得る。
・厳しい指導が必要な場合でも、大勢で叱る、継続的に叱り続けるなど手段が許容範囲を超える場合は、パワハラになり得る。
・職務命令が業務の範囲を超えて私的である場合は、パワハラになり得る。

44頁ff

チェックリスト

1 パワハラチェックリスト

(価値観)
・最近何でもかんでもパワハラと言い過ぎだ。
・パワハラと思われるぐらいの厳しい体験をさせないと部下は成長しない。
・部下を褒めすぎると満足してしまって成長しないので滅多に褒めないようにしている。
・パワハラをしたくはないが、うちの部下の場合はそうしないと動かない。

(行動)
・部下を30分以上連続して叱ったことがある。
・叱る時、物を投げたり、机を叩いたりしたことがある。
・自分の感情を爆発させたことがある。
・大勢の前で叱ったことがある。
・叱って部下を泣かせたことがある。
・自分が原因か分からないが、部下がメンタルダウンしたことがある。
・上司や同僚から、少し指導が厳しすぎるのではないかと言われたことがある。
・部下から一切反論されたことがない。

2 セクハラチェックリスト

(価値観)
・人間関係の潤滑油として時には下ネタなどのジョークを言うことも必要だ。
・実は何でもセクハラと言う社会が正直理解できない。
・女性と男性は本来違っているのだから、社会における役割も当然違ってしかるべきだ。

(行動)
・容姿についてコメントすることが多くある。
・職場の宴会で女性職員に自分の近く又は偉い人の近くに座るよう求めたことがある。
・女性職員だけにお茶汲みを指示したことがある。
・異性の職員から相談があると言われ、一対一で食事に誘ったことがある。
・異性の職員にしつこくメールを送ったことがある。
・自分の言動に対し「それセクハラ」と言われたことがある。

3 マタハラ(パタハラ)チェックリスト

(価値観)
・出産休暇や育児休業は、本来、職場の迷惑にならないタイミングで取るべきだ。
・休暇や休職をする職員は、迷惑をかける上司や同僚に謝罪すべきだ。
・男性職員の場合は、本当に休暇や休職をする必要があるか疑わしいと思うことがある。

(行動)
・出産を告げられた職員に、「この忙しい時期に」と言ったことがある。
・妊娠中の職員に、「妊婦は、早く帰れて良い」と言ったことがある。
・育児休職を申請した職員に、「できるだけ短くして欲しい」と言ったことがある。
・妊娠を告げられた職員に、「これを機に辞める選択もある」と言ったことがある。
・出産や育児に関する制度の具体的内容についてほとんど知らない。

218-219頁

※パタハラとは、男性職員を対象とした配偶者の妊娠・出産及び育児等に関するハラスメントを指す。


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