詩篇22編はイエスさまが十字架の上で叫ばれた言葉から始まります。「わが神 わが神/ どうして私をお見捨てになったのですか」。その後は神さまの救いを求めて必死に叫ぶ詩人の言葉が続きますが、後半に入ると、がらりと雰囲気が変わります。詩人は、会衆の中で賛美し、会衆に賛美を呼びかけます。神さまが詩人の叫びに答えてくださったからです。
詩人は自分が「人のそしりの的 民の蔑みの的」であることを訴えていました。その詩人を「助ける者」はいませんでした。
22編の後半で、詩人が賛美を呼びかけた会衆とは、詩人をそしり蔑んでいた人々であり、詩人を助けなかった人々のことです。詩人は、自分をそしり蔑んでいた人々や助けてくれなかった人々に賛美を呼びかけているのです。しかも、その人々のことを「兄弟」と呼んでいます。それは赦しなしにはあり得ないことです。
教会では主イエス・キリストに結ばれたお互いのことを「兄弟姉妹」と呼び合います。しかし、「兄弟姉妹」を「兄弟姉妹」と呼ぶのは、決して当たり前にできることではないと改めて教えられます。
十字架の上で「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」と叫ばれたイエスさまは、ご自分を十字架にかけた私たちを赦していてくださいました。「兄弟姉妹」が「兄弟姉妹」であり得るのは、そのイエスさまの御名が語り告げられるところにおいてです。
私は あなたの御名を兄弟たちに語り告げ
会衆の中であなたを賛美します。(詩篇22編22節)