詩篇14編の詩人は「神はいない」という言葉を取り上げています。「愚か者」が心の中で言っている言葉です。
詩人はイスラエルの民であり、その詩人から「愚か者」と呼ばれている人々もイスラエルの民です。まことの神さま、主から、ご自分の民とされた人々です。
イスラエルの民が「神はいない」と言うのは、文字通りに神さまの存在を否定してことではないはずです。彼らは神さまの民として生きているのです。表面的にはとても敬虔であるかも知れません。しかし、心の中では「神はいない」と言っているのです。そして、彼らの「神はいない」を、詩人は神さまを呼び求めないことと言います。
信仰とはただ単に神さまの存在を認めることではありません。そのこととともに、神さまとの人格的な交わりの中に生かされることです。全知全能なる神さまが、小さな自分を顧みていてくださる、いつもともにいてくださる、その神さまの御前にあることを覚えて生きることです。神さまを神さまとして恐れ、神さまを信頼して、自分を神さまに委ねて生きることです。
神さまは、いつも先に、私たちに呼びかけていてくださいます。私たちを呼び求めていてくださいます。そして、神さまを呼び求める私たちの祈りに必ず答えてくださいます。
神に近づく者は、神がおられることと、神がご自分を求める者には報いてくださる方であることを、信じなければならないのです。(ヘブル人への手紙11章6節)