- 主日礼拝説教：2024年6月9日（日）
- 聖書箇所：テモテへの手紙第一6章17～21節
- 説教題：委ねられた福音
暗唱聖句
テモテよ、委ねられたものを守りなさい。そして、俗悪な無駄話や、間違って「知識」と呼ばれている反対論を避けなさい。
テモテへの手紙第一6章20節
説教音声
説教要旨
神に望みを置いて
パウロは「今の世で富んでいる人たち」に対する命令をテモテに伝えています。「今の世で富んでいる人たち」とは、簡単に言えば、お金持ちのことです。
パウロは、まず「高慢にならず」と言っています。わざわざ、高慢を戒めていることからすると、富んでいる人たちは富んでいることで高慢になっていたのかも知れません。そして、それは、富んでいる人たちが富を頼りにしていたということでもあるでしょう。しかし、パウロはその富を「頼りにならない」と断言しています。
パウロが「頼りにならない富」と表現しているのは、直接的には金銭のことでしょう。しかし、何か誇りとしているものがあるならば、それが自分の拠り所となっているならば、それらはすべて自分の富です。施しのような良いはずの行いも、自分の誇り、自分の拠り所となっているならば、それは、自分の富に望みを置いていることになります。
パウロが見つめているのは「来たるべき世」です。それは主イエス・キリストの再臨によって実現する完全な神の国です。パウロが教えているのは、その「来たるべき世」において「まことのいのちを得る」ことです。そして、そのために求められているのが神様に望みを置くことです。
神様に望みを置くというのは、自分の貧しさを知ることです。自分には望みがない、しかし、神様が愛していてくださる、その神様だけを頼りとする、神様だけに望みを置くことです。何も誇ることができない、何の拠り所もない、そんな貧しい自分の現実を受け入れながら、神様だけに望みを置いて生きるのです。そして、それが、「来たるべき世において立派な土台となるもの」だと言えるでしょう。
私たちの望みは神様にあります。何も誇ることができない、そんな貧しい罪人の自分を愛していてくださる神様ご自身が、私たちの望みなのです。
委ねられたものを守る
パウロは最後の最後に「委ねられたものを守りなさい」と命じました。「委ねられたものを守りなさい」と命じるからには、その背景に、委ねられたものが脅かされている、そんな教会の現実があったのでしょう。パウロは、具体的に、「俗悪な無駄話」、「間違って『知識』と呼ばれている反対論」を指摘しています。
知識は大切です。しかし、知識は曲者でもあります。なぜなら、知識は人を高ぶらせるからです。「ある者たち」が知識を持っていると主張したのは、高慢になって、自分の知識を誇っていた以外の何ものでもありません。彼らは、知識のある自分を誇り、知識のない人々を見下していたのです。パウロは直前の箇所で「富んでいる人たち」の高慢を指摘しましたが、間違った知識もまた、高慢をもたらす富になると言えるでしょう。
間違った知識は私たちを高慢にします。しかし、本当の知識は私たちを謙遜へと導きます。
救い主イエス・キリストとお出会いする時、私たちは自分の貧しさを知らされます。罪人の自分が赦されるために、十字架にかかってくださったイエス様の愛に気づかされる時、私たちは自分を誇ることができなくなります。罪人の自分が救われるために十字架にかかってくださったイエス様、そのイエス様の福音によって、本当の知識をいただくならば、私たちは謙遜へと導かれていくのです。
テモテはパウロからイエス・キリストの福音を委ねられました。テモテに福音を委ねられた神様は、現在の私たちにも福音を委ねていてくださいます。そして、私たちは委ねられた福音を守るように命じられています。
委ねられた福音を守るというのは、福音を正確に説明することではありません。何よりも、私たち自身がイエス様の愛に支えられて生きることです。お金によってではない、知識によってでもない、他の何かによってではなくて、イエス様ご自身に支えられながら、イエス様を誇りとして生きることです。そんな小さな私たちの歩みを通して、福音は福音として守られるのです。
イエス様の愛に支えられて生きる私たちを通して、委ねられた福音が守られ宣べ伝えられていくことを願います。
祈り
テモテに委ねられたイエス様の福音が、守られて、現在の私たちにまで宣べ伝えられてきた恵みを覚えて感謝します。テモテと同じように福音のバトンを受け継いだ私たちです。弱く小さな私たちですが、福音として宣べ伝えられているイエス様の愛をいつも受け取りながら、委ねられた福音を守り宣べ伝えていくことができますように。小さな私たちを励まして用いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。
