主日礼拝説教：2024年4月7日（日）
聖書箇所：テモテへの手紙第一5章17～25節
説教題：自分を清く保つ
暗唱聖句
自分を清く保ちなさい。
テモテへの手紙第一5章22節b
説教音声
説教要旨
◆ 二倍の尊敬を受けるにふさわしい
やもめの問題の次に、パウロが取り上げたのは長老の問題でした。
パウロは、まず、長老について、「二倍の尊敬を受けるにふさわしいとしなさい」と命じています。長老とは教会のリーダーたちです。その中には「みことばと教えのために、労苦している長老」もいたようです。現在のプロテスタントの教会では牧師に相当するでしょう。
１８節に引用されている言葉と合わせて考えると、「尊敬」と訳されている言葉は、「報酬」と理解しても良さそうです。「尊敬」と訳されている言葉そのものにも、「代価」や「謝礼」という意味があります。長老に対する尊敬は十分な報酬によって表現される、そのようにパウロは考えたようです。そして、いずれにしろ、パウロが願ったのは、長老が「みことばと教え」の働きに専念できることです。
「尊敬」と訳されている言葉には、「報酬」という意味があります。しかし、新改訳２０１７や聖書協会共同訳では、「報酬」ではなくて、「尊敬」と訳されています。尊敬は報酬によって表現される、しかしながら、報酬がすべてではないことも感じさせられます。
個人的な話ですが、私は、「二倍の尊敬」どころか、何倍もの尊敬を受けてきたように思います。ただ神学校を卒業しただけで、尊敬を受けるに値しない私の言葉を、教会の皆さんは熱心に聞いてくださってきました。そして、私と私の家庭は、そんな教会の皆さんに支えられてきました。長老に対する尊敬を教えるパウロの言葉を見ながら、改めて、神様と人の前で、謙遜になることを学ばされているように思います。そして、感謝します。
◆少量のぶどう酒を用いなさい
パウロは、次に、長老に対する訴えの問題を取り上げます。それは長老の罪の問題と言っても良いでしょう。
パウロは、長老に対する訴えが簡単に受理されてはならないことを命じる一方で、長老の罪の問題を厳しく取り扱うように命じています。「罪を犯している者をすべての人の前で責めなさい」。厳しい言葉です。
パウロは、長老の罪に対する厳しい対応を命じながら、最後に「自分を清く保ちなさい」と命じています。自分を清く保つというのは、今日の箇所においては、長老を立てる場合のことでしょう。軽率に長老を立てて、後でその長老の罪が明らかになって、その罪の責任を負わなければならない、そんなことがないように、パウロはテモテに指導をしているのです。
私たちは罪人です。罪人の私たちが自分を清く保つのは不可能なことです。しかも、自分だけではなくて、他人の罪を背負うのは、無理な話です。私たちは、他人の罪どころか、自分の罪の責任を負うことすらできないのです。そして、だからこそ、イエス様が十字架にかかってくださいました。十字架の上で、私たちの罪を背負ってくださいました。
かなり突然な感じがしますが、パウロはテモテに「少量のぶどう酒」を勧めています。テモテの体には少量のぶどう酒が必要だったのでしょう。パウロはテモテを労わっているのです。
今日の箇所とは関係がないかも知れませんが、「少量のぶどう酒（ぶどうの汁）」はずっと聖餐式で用いられてきました。イエス様が十字架で流された血潮です。
私たちは、罪人であり、清い者ではありません。しかし、イエス様の血潮によって清められています。そして、私たちが自分を清く保つのは、どこまでいっても、イエス様の血潮によってです。私たちは、イエス様の血潮によって、罪が赦された者として、清い者として生きるのです。だからこそ、聖餐式においては、自分自身を吟味することが求められます。それは、「どんなに清い生き方をしてきたか」ではありません。求められているのは、自分が聖餐のパンと杯を受け取るに相応しくない者であることを覚えることであり、同時に、そんな罪人の自分を愛して十字架にかかってくださったイエス様の救いの恵みを覚えることです。
長老にしろ、他の誰であるにしろ、私たちに求められているのは、イエス様につながっていることです。イエス様の十字架の前で、罪人の自分を赦してくださったイエス様の愛を受け取り続けることです。自分を清く保つ歩みは、イエス様の十字架の恵みの中にあるのです。
祈り
イエス様の血潮によって、罪人の私たちが清い者とされている恵みを覚えて感謝します。新しい一週間も、イエス様の十字架の恵みによって、自分を清く保つ者としてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。
