改めまして(5)
韓国で信仰をいただいた頃、私は韓国の近現代文学を学んでいました。主に小説です。実は、韓国の小説を日本語に翻訳したり日本で教えたりしたいという願いを持っていました。その願いはかないませんでしたが、現在はたくさんの作品が日本で紹介されていて、素晴らしいことと思っています。
さて、ちょっとこじつけ感がありますが、少しだけ、親しんだ作家の紹介をしてみたいと思います。田榮澤(チョン・ヨンテク)という作家です。弱い人々に対する暖かい視線が印象的な作家でした。執筆活動自体は1960年代まで続きますが、作家としての輝きを放っていたのは1920年代でしょうか。
また、田榮澤は作家の顔を持つと同時に牧師という顔も持っていました。青山学院大学で文学と神学を学び、若い頃には信仰者としてさまようこともあったようです。ちなみに、新聖歌187番の「いざ帰れや」は田榮澤の作詞です。ウィキペディアによると、作詞の背景には別の出来事(教会の神社参拝)があったようですが、田榮澤が「いざ帰れや、急ぎ帰れや」という父なる神様の呼びかけを歌い伝えるのは、信仰者としてさまよったことがある本人の経験も反映されているでしょうか。
私たちは悩み迷うことがあります。しかし、帰ることができます。待っていてくださる方がいるからです。
「まだ家までは遠かったのに、父親は彼を見つけて、かわいそうに思い、駆け寄って彼の首を抱き、口づけした。」(ルカの福音書15章20節)