- 2023年10月8日(日)
- テモテへの手紙第一1章18~20節
- 説教題:立派に戦い抜く
説教音声
暗唱聖句
私の子テモテよ。以前あなたについてなされた預言にしたがって、私はあなたにこの命令を委ねます。それは、あなたがあの預言によって、信仰と健全な良心を保ち、立派に戦い抜くためです。
テモテへの手紙第一1章18節
説教要旨
サタンに引き渡しました
テモテが任されたエペソの教会には、「信仰の破船」にあった人々がいたようです。信仰の破船にあったというのは、信仰が挫折したということです。具体的に名前の挙げられているヒメナイとアレクサンドロは、神様を冒瀆していたようです。そして、パウロは、神様を冒瀆してはならないことを学ばせるために、二人をサタンに引き渡しました。サタンに引き渡したというのは、具体的には、教会の交わりから除外したということになるでしょう。
教会は、その歴史の中で、「戒規」ということを大切にしてきました。戒規というのは、「戒告」、「陪餐停止」、「除名」の三段階で執行されることになるでしょう。繰り返される罪の悔い改めが求められ、受け入れられなければ、聖餐に与ることができなくなり、最終的には、除名に至るということです。
戒規というのは、表面的には懲罰のようなものであるかも知れません。言うことを聞かない奴を追放することのように見えるかも知れません。しかし、それは、決して単なる懲罰ではありません。追放でもありません。
パウロは、コリント人への手紙でも、サタンに引き渡すということを言っています。それは、当人が、罪を自覚して、悔い改めるためでした。戒規の目的は、懲らしめでもなく、邪魔者を追放することでもなく、反対に、戒規を受けた人の救いにあるということです。パウロがヒメナイとアレクサンドロをサタンに引き渡したというのも、サタンをも支配しておられる神様に、二人の救いを委ねたと理解することができるのではないでしょうか。そして、それは、二人に対する愛と神様に対する信頼なくしては、できないことだったのではないでしょうか。
あの預言によって
パウロは、手紙の冒頭部分で、「ある人たち」が、違った教えを説いたり、果てしない作り話と系図に心を寄せたりしないように、命じることを命じていました。あるいは、その命令を含めて、2章以降で出てくる様々な命令も含まれてくるでしょうか。いずれにしろ、パウロは、命令を委ねています。そして、その目的は、「あなたがあの預言によって、信仰と健全な良心を保ち、立派に戦い抜くため」だということでした。
「立派に戦い抜く」というのは、どういうことでしょうか。その意味を考える時に、鍵になるのは最後の言葉でしょう。「抜く」という言葉です。
「抜く」という言葉は、『広辞苑』を見ると、たくさんの意味が出てくる動詞であることが分かりますが、「戦い抜く」の「抜く」は、「最後までやり通す」という意味を添える補助動詞になります。「戦い抜く」は「最後まで戦い通す」ということです。
信仰生活は戦いです。そして、その信仰生活の戦いにおいて、大切なことは、「最後まで」ということです。信仰生活は途中で投げ出してはならない戦いだと言えるでしょう。どんなに立派に戦っていても、途中で信仰そのものを失ってしまっては、何の意味もないわけです。信仰生活は最後まで戦い抜くことに意味があるということです。「立派だった」というのは、最後まで戦い抜いた時にこそ、与えられる言葉なのではないでしょうか。
立派に戦い抜くためには、どうすればいいのでしょうか。パウロは、「あの預言によって、信仰と健全な良心を保ち」と言っています。立派に戦い抜くためには、信仰と健全な良心を保つことが必要であり、それは預言によって可能になるということです。預言によって、信仰と健全な良心は励まされるのであり、それが立派に戦い抜くことにつながるということです。
「あの預言」の具体的な内容は分かりませんが、それは聖霊によって語られた神様の言葉であり御心です。現在の私たちに対しては、神様は聖書の言葉を通して、御心を示していてくださいます。大切なことは、その神様の言葉に励まされることです。聖書を通して、いつも共にいてくださる神様の言葉を受け取り、そこに込められた十字架の愛によって励まされることです。
それぞれの置かれている場で、神様の言葉に励まされて、立派に戦い抜くことができればと思います。
祈り
どこで信仰の破船にあうかも分からないような私たちです。しかし、そんな不確かな私たちを、あなたご自身が支えていてくださることを、感謝します。新しい一週間が始まりました。新しい一週間も、どうか、あなたの言葉に耳を傾けながら、いつも共にいてくださるあなたの愛を受け取ることができますように。そして、あなたご自身に励まされて、立派に戦い抜くことができるように助けてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。