- 2023年8月27日（日）
- テモテへの手紙第一1章12～17節
- 説教題：主キリスト・イエスに感謝する
説教音声
聖句
私は、私を強くしてくださる、私たちの主キリスト・イエスに感謝しています。キリストは私を忠実な者と認めて、この務めに任命してくださったからです。
テモテへの手紙第一1章12節
説教要旨
忠実な者と認められて
パウロは、律法について説明しながら、自分が栄光の福音を委ねられたことを語った後、何よりもまず、イエス様に感謝をしています。そして、感謝の理由は、キリストが自分を忠実な者と認めて、福音宣教の務めに任命してくださったからだということです。
パウロが忠実な者と認められたということを聞けば、私たちは「さすがはパウロ先生だ」と思うでしょうか。しかし、パウロは、自分のことを、「神を冒瀆する者、迫害する者、暴力をふるう者」だったと言っています。そして、そんな自分を、イエス様が忠実な者と認めてくださったと言っているわけです。イエス様は、「神を冒瀆する者、迫害する者、暴力をふるう者」だったパウロを、忠実な者と認められたということです。そして、それは、イエス様がパウロを信頼されたということでもあるでしょう。
イエス様は、パウロの何を見て、パウロを信頼されたのでしょうか。パウロを忠実な者と認められたのでしょうか。聖書には何も語られていません。しかし、理由が分からないからこそ、私たちは、パウロに対するイエス様の信頼に、一方的な恵みを見つめることができるのかも知れません。イエス様は、信頼することのできないパウロを信頼されたということです。だからこそ、パウロに福音宣教の務めを任せられたということです。あるいは、パウロの側から見れば、福音宣教の務めをいただいたことは、信頼に値しない自分を信頼して用いてくださるイエス様の豊かな愛を経験することでもあったと言えるのではないでしょうか。そして、その愛の故に、パウロは、福音宣教の働きの中で、イエス様に感謝しているのではないでしょうか。
福音宣教というのは、その務めをいただいた者にとっては、信頼に値しない自分を信頼して用いていてくださるイエス様の愛の証しでもあることを覚えたいと思います。イエス様の愛を伝える私たちの方が、イエス様の愛を豊かに味わうことのできる場だということを覚えたいと思います。そして、その愛を覚えて感謝しながら、愛を伝える者となることができれば幸いです。
私を強くするのは
パウロは、自分が感謝しているイエス様について、短い説明の言葉を付け加えています。それは、「私を強くしてくださる、私たちの主キリスト」です。
ちなみに、聖書協会共同訳などでは、「強くしてくださる」と訳されている箇所は、「強くしてくださった」となっています。どちらの訳が相応しいのかは分かりませんが、共通しているのは、「強く」ということです。そして、大切な点は、パウロを強くするのが、「私たちの主キリスト・イエス」に他ならないということです。
パウロの他の手紙、例えばコリント人への手紙第一１２章９－１０節などと合わせて見ると、パウロは決して自分を誇っているのではないことが分かります。パウロは、自分の弱さを克服して、強くなったと誇っているのではありません。反対に、パウロは自分の弱さを認めているわけです。認めるどころか、誇っているわけです。そして、それは、パウロの言葉によれば、「キリストの力がわたしをおおうため」だということです。パウロは、キリストの力に覆われながら、「弱い時にこそ、強い」と証ししました。本当の強さは、自分の弱さを認めながら、イエス様の力に覆われるところにあるということです。
テモテに宛てられた二つ目の手紙を見ると、パウロはテモテに対しても、「強くなりなさい」と命じています。他の手紙でも、パウロは、手紙を受け取る人々が強くされることを願っています。パウロは、現在の私たちを含めて、すべてのクリスチャンが強くされることを願っています。そして、それは、イエス様ご自身の願いと言ってもいいでしょう。誰よりも、イエス様ご自身が、私たちの弱さを知っていてくださるのであり、私たちの力になりたいと願っていてくださるということです。大切なことは、イエス様の力の覆われることです。それは、イエス様を信頼して、イエス様の支配に自分を委ねて、イエス様に従うということです。
弱さを覚えさせられるのは、辛いことであり苦しいことです。しかし、私たちの弱さは弱さで終わりません。なぜなら、弱さを覚える私たちに、イエス様が語りかけていてくださるからです。イエス様は、ご自分の力に覆われて生きる恵みの中へと、弱い私たちを招いていてくださいます。
祈り
信頼に値しない私たちを信頼して、忠実な者と認めて、大切な福音宣教の働きに用いていてくださるイエス様の愛を覚えて感謝します。また、弱い私たちを支えていてくださるイエス様の力に覆われながら、イエス様の愛をお伝えする者であらせてください。新しい一週間の歩みを導いてください。