●『愛と自由のことば』より(24)

「子供というものは、家庭内の雰囲気に非常に鋭敏に反応するものです。蕾は感じやすく傷つきやすく、ほんのちょっと霜がおりてもしぼんでしまいます。ですから蕾は寒暖計よりも敏感に、わずかの気温の低下をもキャッチするのです。蕾は温度とおおいとを必要とします。そして子供が十分な温度とおおいを与えられるか否かは、何よりもまず、その子の両親の仲がほんとうにしっくりいっているかどうか、その子の父と母とが互いに愛しあい、幸福であるかどうかにかかっているのです。」〔ポール・トゥルニエ〕

 子どものことを真剣に考えるならば、親子の関係をまず考えるのではなく、それに先立って夫婦の関係を考えなければなりません。夫が妻を、妻が夫を具体的な愛で愛していない家庭の中で、どうして子どもに愛が伝わるでしょうか。

 子どもは、両親の愛の中からこの世に生まれてきました。両親が愛しあう姿は、子どもに自分の存在の根拠が確かなものであることを教えます。逆に両親が互いに貶(けな)し非難し否定する姿は、子どもに自分がこの世にいてもいいのだろうかとの恐れを与えるでしょう。

 両親の間にある愛は、口先だけの愛ではなく具体的な愛です。いたわりのことば、感謝の思い、笑顔、笑い、楽しい雰囲気などなど。そういえば前の三浦綾子カレンダーに「不機嫌は罪である」などと書いてありましたね。