●『愛と自由のことば』より(20)

「キリストが馬槽(まぶね)の中に静かにお生まれになったように、私たちの心の中に来てくださるキリストも、やはりいちばん謙遜な思いの中に、そっと来てくださいます」(羽仁もと子)

 自由学園の創立者で日本初の女性ジャーナリスト羽仁もと子のことば。「世の中のことにとりまぎれて、ごたごたと紊(みだ)れがちな他の多くの心持ちは、それに気づかずに、いつまでもいつまでも過ぎています」と続きます。
 私の心の王座に来てくださったキリスト。この方の存在を大切にし、その語られる言葉に聞きそれを大切にするために「心をしずかに」しなければなりません。「謙遜な思いの中に、そっと来てくださる」のですから。
 謙遜の反対が高慢とするならば、高慢な心は、キリストを見出すことができないということでしょう。高慢な心は、ざわついた心を生み出します。すでにともにいてくださるキリストを見出すことができないのは、自分の心の在り方に問題があるからでしょう。
 心を静かにしてキリストの御声に耳を傾けましょう。キリスト御自身が心の中でだんだん強く働いてくださいます。そうして神の子に造り変えられていきます。恐れおののく臆病な私のいのちが、ふしぎな平安に満ち溢れるものになります。