●『愛と自由のことば』より(5)

「頑は頑固であり、張りは自己主張であって、頑固に我意を張ることが頑張りである。しかるにキリストを信ずる者の性格はおよそ之(これ)とは反対に、柔和と従順を特質とする。」(矢内原忠雄)

 「頑張りましょう」という言葉は便利な言葉で人を励まそうと思う時にこう語っておけば励ました気持ちになれます。しかし実際にこの言葉が励ましになっているかと言えばどうもそうとも言えないような気がします。外見はともかく内面的にこれ以上頑張れないほど頑張っている人に向かって「頑張りましょう」の言葉は、まだまだ頑張りが足りない、もっと頑張らなければならないというふうに相手に響くことでしょう。
 自分の気持ちを鼓舞するために自分に対して「頑張ろう」の言葉は時に役に立つこともあります。自分に言い聞かすことで力を発揮して前進できることもあるでしょう。
 しかし頑張っている人のそばに居るとどうも圧迫感があってしんどいものです。さらには頑張りによって成功したり成果があらわれたりすると、その輝きがまぶしすぎてそばに近よれなくなります。
 東京大学総長を務めた無教会主義のキリスト者・矢内原忠雄は、神さまを信じる者の生きる力は「柔和なたましいが神の助けに依りたのむところに注がれる神の能力」であると語ります。神さまの力によって実を結ぶ人のそばには誰もがそのままで安心していられる場所があります。


投稿日

カテゴリー:

,

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.