●『今日のパン、明日の糧』(ヘンリ・ナウエン)より(15)

「死とは、人生という地平線の上で徐々に小さくなっていき、最終的に見えなくなることです。港を離れ水平線に向かって行くヨットを見ていると、だんだんに小さく見えなくなっていきます。しかし、遥か遠くのむこう岸では、その同じヨットが新しい港に着くまで、だんだん大きくなってくるのをじっと見ていてくれる人がいることを信じなければなりません。」

 父が死んでこの春で一年になります。死ぬ前に幾度かトイレの介助をした時、父のからだがずいぶん小さくなったことを実感しました。自分では立つことも、食べることもできなくなり、家族の見守る中、静かに逝きました。水平線のかなたに消えて行くヨットのように。
 家族には悲しみとさみしさが残りました。しかし遥かむこう岸では「新しい家に迎え入れようと、心から喜んで待ちわびる方」がおられて「じっと見ていて」くださるのです。何と大きな慰めでしょう。
 今生かされている私たちにも、いつの日かはるか遠くの景色の中に小さくなって行く時がやって来ます。その時まで波間を漂っています。漂っている時々も、つねに神さまが温かいまなざしを注いでいてくださることを信じましょう。この世からすれば、どんどんと小さくなっていく人生も、神さまの目にはだんだんと大きくなってくる人生であることを見失わないでいましょう。


投稿日

カテゴリー:

,

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.