「私のしたことは何の値打もなく、私はみじめな被造物です」
ジャン・カルヴァン(1509~1564)
カルヴァンは1509年にフランス北西部の町ノワイヨンに生まれました。宗教改革運動への賛意を公にしたため身に危険が迫り1534年にフランスを去ります。スイス西部の都市国家ジュネーヴにおいて教会改革、宗教改革の指導者となりました。
週に数回行われる説教のほか、年に100回以上の聖書講義、長老会、牧師会をはじめ様々な会議への出席、論文や聖書集会の執筆活動などなど。この超人的活動は当然ながら健康を害し性格をもゆがめたといわれます。死去することとなる1564年、早くからあった偏頭痛と胃痛に、肺結核、尿路結石、神経痛が加わり、日々苦しい健康状態の中でなお講義と説教を行っていました。3月10日の説教が最後の説教となり、4月25日には遺言をすませ、議員、牧師たちと別れを告げ、5月27日に54歳と10か月の生涯を終えました。
この偉大な改革者カルヴァン。牧師たちへの最後の言葉がこれです。自分自身、肉体的不調からの怒りやすさや神経質な傾向に手を焼いていたようです。その自分自身の欠点をわびつつこう語りました。「私は多くの弱点をもっていたので、あなた方はそれらを我慢しなければなりませんでしたし、私のしたことは何の値打もないことです」。もちろんカルヴァンは自分のした改革事業そのものを否定しているのではありません。ただ自らの心の貧しさを知っていたということでしょう。
本当に偉大な人は自らの弱点を知りそれと戦っています。そして人々にわびることのできる健やかな心を持っています。
2013年5月19日(日)の週報より
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