「他の人間とは、神が私にもたらした「私を限界づける者」である。しかし、私はこの者を愛することができ、その愛のゆえにこの限界を踏み越えないでいることができる。」
(ボンヘッファー、『主のよき力に守られて』より)
最初の人アダムはひとりでした。神さまは人がひとりでいるのは良くないとことだと思われ、「助け手」としてエバを創造しアダムのそばに置かれました。エバはアダムの助け手となりました。
助け手とはいったい何を助けてくれるのでしょうか。アダムは神さまによって造られ、アダムの置かれたエデンの園は何不自由のないところでした。すべての必要は満たされていたのです。その上に神さまがいてくださいました。何の助けが必要でしょうか。アダムにとっての最初の「他の人間」エバは、アダムにどんな助けをしてくれるのでしょうか。
ボンヘッファーは「他の人間」とは「私を限界づける者」であるといいます。つまり自分が自由にやってしまいたくなることを制限してくれる存在ということです。その意味で「助け手」なのだと語ります。
助け手という言葉からは、自分の手の届かないところに代わりになって手を伸ばしてくれる人をイメージしますが、そうではなく、私が自己中心に生きてしまおうとするときにそれを妨げてくれる大切な人であり、その意味で私の助け手なのです。
ひとりなら好き勝手にいつ起きてもいつ食事をしても平気です。しかし家族がいるとそうも行きません。子どもがいるならなおさら自分の好き勝手な生き方が制限されます。しかしその制限してくれるということが私の助けなのです。この助けによって人間ははじめて愛するということを学んでいきます。
コメントを残す