続・牧会ずいそう<121> 雪

 今年は日本海側を中心に記録的な豪雪にみまわれた。雪は白くてきれいで、すべてを覆い隠してくれる天使のように思われている。雪の美しさには見とれるものがある。しかし、見方を変えると雪の反面が見えて来る。マケリゴット師が、一茶研究の中では、雪はあまり心地よいものとしては描かれていない。と言っておられた。雪国の人々にとっては厄介なものであり、人を閉じ込め、重くのしかかる重荷であり、恐怖さえ抱かせるものだ。恨めしい存在でさえある。豪雪に押しつぶされた家、寸断された道路、孤立した家の中で、いつ屋根がつぶれるかと恐れを抱きながらその下にいる人々。掘っても掘っても雪に埋まる地方の人々のニュースを見聞きすると、雪のもう一面を実感する。雪はすべてを覆って美しく見せてくれる。しかし、美しくなった訳ではない。雪が溶けると再び隠されていたものが顔を出し、以前にまして見苦しく見える。道路脇に積まれた雪は泥にまみれ汚い。雪は見せかけの義であり、見栄であり、虚栄であるのかもしれない。これが積もると人の関係が寸断され、心の重荷となり、孤独に押しつぶされそうになる。


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