続・牧会ずいそう<96> 罪を生み出すもの(その7)

 見 栄
 人には隠したい思いと、見せたい思いが交差する。罪を犯すと隠したくなるし、隠し続けると罪は増殖される。一方、良いことをすると人に見せたい、認めてほしい。これは当然な気持ちであるが、実際以上に良く見せたいと言う見栄が働いて来る。爪先立ちして、又は高下駄を履いて歩くようなもので、つまずき易く倒れ易い。自分の身に着けているもの、して来たことを見せびらかし、自慢する人もあれば、有名な人々や知っている人のことを盛んに宣伝して、自分がその人と関係していることを知らせようとすることもある。少々の見栄は可愛く思われることもあるが、過ぎると嫌悪される。更に虚栄になってしまうと、その中に罪の毒素が繁殖しはじめる。現実から離れて誇張され、テレビで見たことや空想の世界での経験が恰も現実に起ったことであるかのように語られたりする。人を楽しませる遊興で終わればまだしも、虚像を見せて人をだますようになると明らかに罪だ。詐欺や悪徳商法と同じ手口になってしまう。その中に偽りがあり、だましがある。利己的な利得の追求があり、人を食い物にする冷酷な野心も動き回る。


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