〔私の宣教スケッチ 14〕 何処へ行くんや

毎週日曜日と水曜日の午後から守山に通ったのはバスであった。ある時、途中で幼い子供が乗り込んで来た。幼稚園に行くか行かないか位の子であった。私の横を過ぎると一番前の席に座った。隣に座っていたおじさんがその子を見て、「坊主、何処へ行くんや」と聞いた。その子は「知らん」と言った。おじさんは「遊びやないで、何処へ行くか知らんと乗ってきたらあかんがな」と慌てた。子供は落ち着いて「おとうちゃん、一緒や」と後を見た。おじさんも安心して黙った。その子は停留所が近づくと後を見る。おとうちゃんは、腕を組んで目をつむったままだ。やがてある停留所に近づき、その子が後を向くと、おとうちゃんが合図をした。バスが止り、その子は急いで降りて行く時、隣のおじちゃんに「おじちゃんここや!」と言った。その声ははずんでいた。私は、「信仰によってアブラハムは、・・行く先を知らないで出て行った。」(ヘブル11:8)のお言葉が理解できたように思った。


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