カテゴリー: 静まり~聖書の言葉から

聖書の言葉から

  • ヨナは魚の腹の中から、自分の神、主に祈った

    静まりの時 ヨナ2・1~10〔ヨナのしるし〕
    日付:2024年07月02日(火)

    「1 ヨナは魚の腹の中から、自分の神、主に祈った。」

     祈りへと導かれる「場」は、さまざまです。喜びの場もあれば苦しみや悲しみの場が私たちを祈りへと導くこともあります。むしろそちらのほうが多いかもしれません。ヨナにとっては「魚の腹の中」でした。
     ヨナにとって魚の腹の中は、神さまの召しに逆らって進んだ先に最終的に本人の意に反して放り込まれたところでした。神さまの御思いを無視し、自分勝手な道に進む先に行きつく「場」は自分の望んだところとは全く違ったところとなる。罪びとのである私たちは、自己中心によって進むことが、結局自分の願いとは違う道に進むことになる、自分を生きることにならない。罪とはまさにこの自己中心を言います。
     しかしその苦しみの中で、主に叫ぶと、主はその祈りを聞き、答えて下さいます。ヨナは祈りました。祈りというと、「願い」のことだと思いますが、このヨナの祈りを見ると、願いと思える言葉は、つぎの一つだけでしょうか。

    「もう一度、私はあなたの聖なる宮を 仰ぎ見たいのです。」(4)

     そのほかは願いというよりも、自分の置かれた状況描写と、神さまはどのようなお方であるのかといった信仰告白です。「祈り」と「願い」はパウロも区別しています。

    「何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。」(ピリピ4・6)

     祈っても平安が与えられないとすると、その祈りが願いばかりになってしまっている。もちろん願いも大切ですが、それ以上に、祈り、真実の祈りがささげられているだろうか、と振り返ります。
     神さまは何をしてくださったのか。

    「しかし、私の神、主よ。あなたは私のいのちを 滅びの穴から引き上げてくださいました。」(6)
    「私の祈りはあなたに、 あなたの聖なる宮に届きました。」(7)

     この祈りに応えて下さった神さまに自らの信仰の決意を語ります。

    「私は、感謝の声をあげて、あなたにいけにえを献げ、私の誓いを果たします。 救いは主のものです。」(9)

     驚くべきことに、この祈りがささげられた後に次の言葉が続きます。

    「10 主は魚に命じて、ヨナを陸地に吐き出させた。」

     ヨナは、祈りが答えられた、すなわち魚の腹の中から救い出されたので、神さまに向かって感謝と賛美を献げているのではないのです。いまだ魚の腹の中にあったそのときに、神さまは祈りを聞いてくださった、神さまに感謝し、いけにえを捧げます、と告白しているのです。
     救いを先取りしている、とまずは読めると思います。「私たちが願うことは何でも神が聞いてくださると分かるなら、私たちは、神に願い求めたことをすでに手にしていると分かります。」(第一ヨハネ5・15)

     その上で、あらためて、このときヨナにおいて、神さまが答えて下さったと知ることのできる救いとはいったいなんであるのか、を考えてみたいと思います。
     それは、この大きな魚に呑み込まれた、という出来事、そのものではないかと思います。魚の腹の中にある、ということは、どう考えても否定的なことです。しかしそこに三日三晩いるという事実。そうして生かされているという事実。その事実の中に、いまヨナはあるのです。ヨナは、その事実そのものに、神さまの救いを見いだしているのではないか。いろいろあるけれども、今はとりあえず生きている、生かしていてくださる、その事実のなかに、すでに差し伸べられている神さまの救いの御手を発見している。そんな風に読むこともまた可能ではないか、と思います。
     今はまだ救われていないけれども、祈りることができているならば、すでに救わていると信じる。そのことも大切です。しかしそれと同時に、すでに今ある中にある救いを発見していく。それもとても大切ではないかと思います。

    〔ヨナ2・1~10〕
    1 ヨナは魚の腹の中から、自分の神、主に祈った。
    2 「苦しみの中から、私は主に叫びました。
     すると主は、私に答えてくださいました。
     よみの腹から私が叫び求めると、
     あなたは私の声を聞いてくださいました。
    3 あなたは私を深いところに、
     海の真中に投げ込まれました。
     潮の流れが私を囲み、
     あなたの波、あなたの大波がみな、
     私の上を越えて行きました。
    4 私は言いました。
     『私は御目の前から追われました。
     ただ、もう一度、私はあなたの聖なる宮を
     仰ぎ見たいのです。』
    5 水は私を取り巻き、喉にまで至り、
     大いなる水が私を囲み、
     海草は頭に絡みつきました。
    6 私は山々の根元まで下り、
     地のかんぬきは、
     私のうしろで永遠に下ろされました。
     しかし、私の神、主よ。
     あなたは私のいのちを
     滅びの穴から引き上げてくださいました。
    7 私のたましいが私のうちで衰え果てたとき、
     私は主を思い出しました。
     私の祈りはあなたに、
     あなたの聖なる宮に届きました。
    8 空しい偶像に心を留める者は、
     自分への恵みを捨て去ります。
    9 しかし私は、感謝の声をあげて、
     あなたにいけにえを献げ、
     私の誓いを果たします。
     救いは主のものです。」
    10 主は魚に命じて、ヨナを陸地に吐き出させた。