「非人間」化をすすめる者たちが恐れているのは、人々が相手を普通の人間と認めて、その声に耳を傾けることだ。そのとき、相手の「非人間」化によらなければ通用しない歴史観やイデオロギーや妄執やナルシシズムは崩壊してします。だからこそ彼らは、「共感」というパイプを必死にふさごうとする。人間として受け止め、考えるべき史実を、何人死んだかといった類の無感情な数字論争に変えてしまうのも、耳をふさぎ、共感を防ぐための手段にすぎない。
加藤直樹、『九月、東京の路上で 1923年関東大震災 ジェノサイドの残響』、ころから、2014年3月11日発行、204頁
共感というパイプをふさがないで、できるだけ人間そのものを受け止めることができればと思いました。