グラスは白鳥座を見つめた。見つめるうちに、白鳥座の垂直に交わる対角線が紛れもなく十字架の形に見えてきた。(北十字星だ)それが白鳥座の一般的な名称だということを、グラスは思い出した。グラスには、この呼び方のほうがふさわしいような気がした。
その夜、グラスは高い塁壁の上に立ち、ミズーリ川の音に耳を澄ませながらずっと長いあいだ星を見つめていた。そして、山頂を見たことはあるが登ったことのない雄大なビッグホーン山脈の水源に思いを馳せた。星や空に驚嘆し、自分の小さな世界とはくらべものにならないその雄大さに元気づけられた。やがて、グラスは塁壁から下りて宿に戻り、それまで眠れなかったことが嘘のようにすぐに眠りについた。
マイケル・パンク、『レヴェナント 甦りし者』、漆原敦子訳、早川書房、2016年発行、387頁
復讐に燃えそれを生きる力にしてきた主人公グラスが、白鳥座に十字架を見いだし、雄大な自然に出会い、ゆるしに生きる道を見いだします。ゆるしに生きる道を見いだしたグラスは、健やかな眠りにつきました。
ゆるすということは、自分自身のために大切なことです。ゆるさないぞと復讐心に燃えていることは、相手を縛っているのではなく、自分自身を縛っているのです。
ゆるしは、神であり人であるキリストの十字架によらなければ見いだすことができません。