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悲し輝かし(愛する者の死に接して)

悲し輝かし(愛する者の死に接して)
2017年9月23日(土)

朝日にあけて夕日にくれる。その同じ日が、同じ世界が、昨日(きのう)と今日(きょう)と、こんなにもちがうのか。
悲しみは胸にあふれ、かえらぬ愛(いと)しさが身をひたす。
・・・
朝日にあけて夕日にくれる。この日も、この天地も、すべてのものの生命(いのち)の墓場であったのか。
すべてのものの生命の責任者よ、幼児をわれらに与えたものよ。
彼のなき骸(がら)は灰になってしまいました。実にそのなき骸が―。灰にすることの出来ないこの縁(えにし)、この思いを、あの幼児と共に、あなたはいずこに置きたもう。
面(おもて)をあげてわれらの天父(ちち)を見れば、みかおは栄に照り輝く。
ああわが胸は悲し輝かし。
朝日にあけて夕日にくれる。この日を働きこの夜を休み、私たちを信じてくれた立(りつ)のように、私たちも天父を信じる。

〔羽仁もと子〕

『愛と自由のことば』
大塚野百合、加藤常昭編
日本キリスト教団出版局、1972年12月15日初版発行
2011年6月20日第14版発行
291頁

「あなたがたは心を騒がしてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい。」(ヨハネ14・1)

本文中の「立(りつ)」とは亡くなられた幼児の名前です。羽仁もと子の孫の立子のことでしょうか。
愛する者の死はすべてを変えてしまいます。「生命の責任者」である神さまへの信仰はその変化を人生の深まりへと変えます。


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