, ,

大日本主義を棄てよ

大日本主義を棄てよ
2017年8月23日(水)

吾人は大声疾呼して言わんとす。大日本主義を棄(す)てよ、所謂(いわゆる)大陸政策を棄てよ、国旗を背後に貿易を為し、民族の発展を為すの迷信を去れ、而(しか)して大(おおい)に海陸の軍縮、特に陸軍を縮小せよ、而して国家的虚栄を棄てて国民の真個の幸福を増進し、国家の文明と国民の品位とを進め高めて世界の改善に貢献せよと。

・・・

品物が良くて価が安ければ、天涯地角至る所敵なきは、此(こ)れ経済界自然の法則ではないか、何ぞ背後に国旗を要せんやである。国旗を背後にして粗製の物を強うるは、これ世界経済界の公敵である。品質高尚善良にして而かも忠実勤勉なる民は、何れの処にか歓迎せられざらん。

・・・

若し我日本にして率先軍備の大縮小を為し、世界平和の唱首となり(勿論之を為すには所謂大陸政策を放棄するの大決心を要す)、斯くて節減し得たる大財源を以て教育交通衛生等に大改善を施して大に国民の幸福を増進し、真誠の宗教に由て国民の品性を一新したならば、世界は挙げて我国を敬信し、世界の平和に貢献したるの功績の偉大なるを称賛するに至るであろう。

・・・

今日我日本に最も要する所のものは、思い切って軍備を縮小して、エホバに信頼して正義に立て、世界の平和に貢献せよ、と絶叫する預言者である。皇天、我国を顧み玉わば、希(ねがわ)くば我日本にイザヤの如き大預言者を与え玉え。

〔柏木義円〕

『愛と自由のことば』
大塚野百合、加藤常昭編
日本キリスト教団出版局、1972年12月15日初版発行
2011年6月20日第14版発行
257頁

「主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。 来たれ。ヤコブの家よ。私たちも主の光に歩もう。 」(イザヤ2・4,5)

「しかし、御霊の実は、愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実、 柔和、自制です。このようなものを禁ずる律法はありません。 キリスト・イエスにつく者は、自分の肉を、さまざまの情欲や欲望とともに、十字架につけてしまったのです。 」(ガラテヤ5・22~24)

今の時代に当てはまる部分とそうでない部分があるのかもしれません。しかし軍備増強にばかりに集中して国民の福祉が後回しにされている国が今も世界にはいくつもあります。戦後日本の経済的成長は、さまざまな要因がその背後にあるのだと思いますが、日本人が「忠実勤勉なる民」であったことはその要因の大きな一つであったのだと思います。

信仰をもって信頼と愛に生きているならば、敵対するものは何もないはずです。


投稿日

カテゴリー:

, ,

投稿者:

タグ: