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涙の谷と暗黒の峡(はざま)にて

涙の谷と暗黒の峡(はざま)にて
2017年2月9日(木)

さまざまな形で行われた秘密警察(ナチスの)での審問の際に、私は―やっとの思いでしたけど―汝の敵を愛せよというイエスの言葉にしたがおうと努力してみました。私は秘密警察の機能を遂行している人々の中に、悪魔の勢力の手先をみるだけでなくて、実は、彼らのことを悲しんでおられる天の父のもとから迷いでて、おそらく帰るすべも知らない放蕩息子たちの姿を見るようにつとめました。
・・・
福音こそ真に人を救い慰めうるものであり、しかも福音は死の床においても、あるいは戦線から肉親の戦死の知らせをうけとった人々のもとでも、私がいままでに夢にも考えていなかったようなことを、なしとげる力をもっていたのでした。私には、自分が、この涙の谷と暗黒の峡をいたるところからつつんでいる永遠の世界からの使者であるかのようにさえ思われました。私ははてしもない荒野の中の泉を守らねばならなかったのでした。

〔ヘルムート・ティーリケ〕

『愛と自由のことば』
大塚野百合、加藤常昭編
日本キリスト教団出版局、1972年12月15日初版発行
2011年6月20日第14版発行
45頁

極限状態の中で福音の力が光り輝いています。
福音こそ力です。
それは神さまの愛の力です。


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