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これで私は、はっきり分かりました

静まりの時 使徒10・34~48〔祈りの準備〕
日付:2025年05月21日(水)

34 そこで、ペテロは口を開いてこう言った。「これで私は、はっきり分かりました。

 ここからペテロの言葉が始まります。ペテロの言葉は、「はっきり分かった」という言葉から始まりました。多くの先生は、このペテロの言葉は、説教の原型の一つであると解説します。牧師の語る説教が、「これで私は、はっきり分かった」、今までは分かっていなかった、あるいは、おぼろげながら分かっていたのだが、コルネリウスとの出会いを通していまはっきりとわかった。そう語り始められる。
 説教者自身が、まず「分かった」ということ。教えられた、それによって、今までの考えが変えられた、という経験をした。それが説教が語られる動機となっている。
 説教者は、自分自身が変えられる、ということが土台となって語ります。聖書の言葉によって自分自身が変えられること。説教者が説教者であるための必要かつ重要な条件です。

39 私たちは、イエスがユダヤ人の地とエルサレムで行われた、すべてのことの証人です。人々はこのイエスを木にかけて殺しましたが、
40 神はこの方を三日目によみがえらせ、現れさせてくださいました。
41 民全体にではなく、神によって前もって選ばれた証人である私たちに現れたのです。私たちは、イエスが死者の中からよみがえられた後、一緒に食べたり飲んだりしました。
42 そしてイエスは、ご自分が、生きている者と死んだ者のさばき主として神が定めた方であることを、人々に宣べ伝え、証しするように、私たちに命じられました。
43 預言者たちもみなイエスについて、この方を信じる者はだれでも、その名によって罪の赦しが受けられると、証ししています。」

 福音は「民全体にではなく」「私たちに現れた」とペテロは語ります。神さまのなさることですから、民全体に現れることも難しいことではなかったと思います。しかしわざわざ使徒たちにのみ現れなさったのには理由があります。神さまは、福音を、人から人へ伝えられるもの、とされたのです。
 また福音は聞くものでもあります。聞くということは、自らに謙遜を要求します。福音は、独自に編み出したものではありません。パウロ自身も「私も受けたこと」(第一コリント15・3)と語りました。

 福音をまず伝えられた者が、いまだ福音を知らない他者に伝える。それは、伝える者が、他者をある意味で受け入れる必要があります。愛すると言ってもよいと思います。そういう風に伝える者自身がまず変えられる、あるいは愛する者となる。そのように神さまはご計画されたのだと思います。
 ですから、伝える者は、福音の内容を知り、その平和の力の大きさを知らなければなりません。そしてそれをそのまま伝えなければなりません。さらにこれから伝えようとする他者を分け隔てしていてはいけません。どのような人に対しても、神さまはあなたを愛しておられます、と語っていかなければならないのです。

44 ペテロがなおもこれらのことを話し続けていると、みことばを聞いていたすべての人々に、聖霊が下った。
45 割礼を受けている信者で、ペテロと一緒に来た人たちは、異邦人にも聖霊の賜物が注がれたことに驚いた。
46 彼らが異言を語り、神を賛美するのを聞いたからである。するとペテロは言った。
47 「この人たちが水でバプテスマを受けるのを、だれが妨げることができるでしょうか。私たちと同じように聖霊を受けたのですから。」
48 ペテロはコルネリウスたちに命じて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けさせた。それから、彼らはペテロに願って、何日か滞在してもらった。

 聖霊の賜物が注がれたしるしとして、「異言」そして「賛美」が特徴的に記されています。「使徒の働き」において、異邦人宣教、あるいは大きな壁を突破するような場面に共通する現象です。ただ異言については、コリント人への手紙を読むと、あとあと教会で様々な問題を生み出しました。異言も他の賜物と同様に多くの賜物の一つです。特別に強調しなければならない賜物ではなく、与えられたからといってことさら誇らしく考えることでもなく、逆に与えられないからといって卑下するような類のものではありません。霊的なバロメーター(こういう言葉はふさわしくないですが、あえて使うとすれば)などというものではありません。

 こうして今まで聖書に忠実に生きようとして来たユダヤの人びとにとっては、まったく受け入れられなかったことが受け入れられることになり、福音が前進していきました。この聖霊の働きは、今も前進しています。さまざまな文化、因習や習慣、既成概念を打ち破りながら前進しています。そのためには、先に福音を聞いた私たちが、どれだけ変えられるかが大切なことです。


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