今回、日本に初めてやってくる名画の数々が展示されています。なかでもフィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」は、いくつかの「ひまわり」との比較もできる形での展示となっていて、より深く鑑賞できるような工夫がされていました。
またヨハネス・フェルメールの「ヴァージナルの前に座る若い女性」という作品。フェルメールは、生涯で30点ほどの作品が残されているそうです。その中でこの作品には他の作品に比べて光の差し込み方に独特のものがあるとの説明がありました。ヴァージナルというのは、チェンバロの一種とのこと。画面の左手前にはヴィオラ・ダ・ガンバが立てかけられていました。
フランシスコ・デ・スルバランの「アンティオキアの聖マルガリータ」。これは竜に食べられたマルガリータが、その竜のお腹を裂いて出てきたという物語を題材にした作品とのこと。それで出産の守護聖人となったそうです。愛くるしい人物像からは想像できないようなすさまじいお話しですね。
アングルなど印象派の以前には、筆のタッチを残さないような描き方が主流でしたが、印象派から筆のタッチを荒々しく残す作品が数多く制作されます。そのへんの歴史の変遷、絵画史の前進は大変興味深いものです。
また作品鑑賞とともに、この美術館の成立から発展の歴史を学ぶこともできました。幾人もの実業家が私財を投じて、建設、収集をしてきたそうです。
ある時美術館をロンドンの中心地から、郊外に移転しようとの計画が出てきたそうです。それに対して、郊外では出かけるのに一日仕事となる、一日の時間が作れない者には鑑賞が難しくなる、ほんの1~2時間なら出かけられるという者たちに、美術鑑賞の機会を与え続けたい、との意見が出され、引き続き町の中に存続することができたとの説明がありました。
現在閉館されている滋賀県の近代美術館が今年(2021年)夏に開館されるそうです。開館自体はとても楽しみです。ただ立地場所については少し考える余地があるように思います。瀬田の文化ゾーンも魅力的な場所ですが、もっと人が行き交いするような場所にあるといいのかなと思ったりもしました。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展は大阪中之島の国立国際美術館にて、今月(2021年1月)31日(日)まで。駐車場がありませんので、近くのコインパーキングか、公共の交通機関を利用しましょう。また感染症の関係で予約が必要です。