つづいて第3章の6を読みます。この6も全文ではなく、留意すべき点が箇条書きになっているので、その部分だけ引用してみたいと思います。
第3章 ハラスメントを起こさないためにはどうしたらよいでしょうか?
6 ハラスメントかどうかわかりにくい グレーゾーンについて理解を深めましょう
セクシャル・ハラスメントとは、「性的な嫌がらせ。特に、職場などで男性から女性に対して、または女性から男性に対して行われる性的、差別的な言動をいう。女性から男性へ、同性同士のハラスメントも含む」と定義できます。
・・・グレーゾーンは認定要件によって判断されます。認定要件とは以下の3点です。
1)言動について相手がセクハラ、あるいは不快に感じた
2)以下の点で合理性・妥当性が認められる
①過去の認定要件と合致、あるいは類似している
②時代の社会通念に反しているか(男女平等の意識や社会通念は変化する)
3)所属するコミュニティーの理念、伝統などに合致しているか明確に線を引くことは難しいのですが、教会的文脈でセクハラにならないために、以下のことに留意しておきましょう。グレーなことは避けるのが基本です。
(1)ボディー・タッチは慎重に。肩をたたく、ハイタッチ、握手するプログラム、手をつないで祈るなどは、現代の社会通念からして避けるほうが安全です。
(2)身体的特徴について発言すること。身体的特徴は人間の価値と無関係です。「ダイエットしてるの?」もハラスメントと取られます。
(3)性差に関係した発言。必要な場合であっても相手の視点に立って慎重に。「結婚はまだなの?」、「赤ちゃんはまだなの?」、会議で「女性の発言だから」と発言することなどは控えるほうが安全です。
(4)性を象徴することば、たとえば「おっぱい」などのことばを人前で安易に使うこと。聞いている人が不快に感じる可能性があるので、避けるべきでしょう。
(5)性差によって職に就くことが制限されること。教会の職は神さまの導きであり、それぞれが与えられている賜物や適性が考慮されるべきです。
(6)子どもとの接点も成人と同じレベルで対応します。善意の身体的接触がPTSD(心的外傷後ストレス障害)になり、長いこと心の傷を抱え込んだまま、何があったかを言えないで苦しむ可能性もあります。子どもだから大丈夫ということはありません。また、保護者の受け取り方にも十分配慮すべきです。(インマヌエル綜合伝道団人権委員会、『聖なる教会を目指して―ハラスメントを起こさないためにはどうしたらよいか』、いのちのことば社、2020年7月20日発行、29ff頁)
教会では、一般的なコミュニティーに求められる以上の基準が必要なのだと思いました。