アレサ・フランクリンが亡くなられました。
2018年8月19日の朝日新聞「天声人語」に以下の文章が掲載されました。
「そんな彼女はやがて、黒人の権利を求める公民権運動のシンボルになっていく。暗殺されたキング牧師の葬儀でも追悼の歌を捧げた」
これはアレサ・フランクリンのことではなく、マヘリア・ジャクソンのことではないでしょうか。
『マヘリア・ジャクソン自伝ーゴスペルの女王』(彩流社、1994年)によると、
「キング牧師と親しかったマヘリア・ジャクソンが《尊き主よ、わが手を取り給え》を涙ながらに歌うと、その場にいた黒人たちは激情と共感を押さえかねて、顔を伏せたり、前方をうつろな眼差しで見つめていたという」(242頁)
「最後に、簡素な黒い喪服に身を包んだアレサ・フランクリンが《尊き主よ、わが手を取りたまえ》を歌い、マヘリアを神の国へと旅立たせた」(前掲書、254頁)
つまり、キング牧師の葬儀でマヘリア・ジャクソンが歌い、マヘリア・ジャクソンの葬儀でアレサ・フランクリンが歌ったということです。
歌われた曲はともに《尊き主よ、わが手を取り給え》という歌であったということですが、これは賛美歌「Precious Lord,take my hand」(新聖歌191番「慕いまつる主なるイエスよ」)です。
以下に歌詞を掲載します。
慕いまつる主なるイエスよ 捕え給えわれを
道に迷い疲れ果てし 弱気しもべわれを
風はつのり夜は迫る されど光見えず
御手を伸べて助け給え 恵み深きイエスよ
胸の内に安きあらず 今か息も絶えなん
近く在(ま)して聞かせ給え 愛の御声われに
答え給え主なるイエスよ 叫び祈る声に
起こし給え立たせ給え 倒れ沈むわれを
(新聖歌191番「慕いまつる主なるイエスよ」)
アレサ・フランクリンの葬儀では、だれかにこの賛美歌を歌っていただきたいところです。