病める者の存在理由
2017年9月13日(水)人間の存在意義は、その利用価値や有用性によるものではない。
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人類を万物の中心と考え、生物のなかでの「霊長」と考えることからしてすでにこっけいな思いあがりではなかろうか。
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現に私たちも自分の存在意義の根拠を自分の内にはみいだしえず、「他者」のなかにのみみいだしたものではなかったか。五体満足の私たちと病みおとろえた者との間に、どれだけのちがいがあるというのだろう。
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また現在もなお、生命の支えなくしては、一瞬たりとも精神的存在でありえないはずである。そのことは生きがい喪失の深淵にさまよったことのあるひとならば、身にしみて知っているはずだ―。これらの病めるひとたちの問題は人間みんなの問題なのである。であるから私たちは、このひとたちひとりひとりとともに、たえずあらたに光を求めつづけるのみである。
〔神谷美恵子〕
『愛と自由のことば』
大塚野百合、加藤常昭編
日本キリスト教団出版局、1972年12月15日初版発行
2011年6月20日第14版発行
281頁
「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ43・4)
このことばが、私に向かって語られていることを受け入れるとともに、隣人に対しても、またすべての人に対しても語られていることを学ばなければなりません。