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子供を尊重しよう

子供を尊重しよう
2017年5月29日(月)

子供の考え方を理解しない親たちは、よく、非常に手のこんだおもちゃを子供に与えます。・・・おもちゃが精巧になればなるほど、子供が自分の内部から、つまり自分の想像力や詩的空想(ポエジー)から何かをそれにつけ加える余地がなくなってしまうのです。
子供はむしろ一本の紐とか棒切れ、または一枚の紙切れで遊びます。こうしたものは、どんなものをも表わすことができるし、努力して操作をおぼえる必要もありません。
・・・
子供を尊重するというこのは子供の遊びを尊重することであり、子供の目に映っている遊びの意義に敬意を払うことです。子供は大人から敬意を払われている度合に応じて自分の人格を意識し、自分の人間としての尊厳を自覚して自分自身を尊重するようになります。そしてこの自己尊重が、のちに大人になってからの道徳的態度全体に影響を与えることになるのです。

〔ポール・トゥルニエ〕

『愛と自由のことば』
大塚野百合、加藤常昭編
日本キリスト教団出版局、1972年12月15日初版発行
2011年6月20日第14版発行
163頁

拾った木切れを石ころで磨いて世界に一つの宝物にしたり、広告の裏に何かかたちの連続を描くことで神秘的な体験をしたり。編み機で編み物をする母の横で、編み機の部品で街をつくったり、空き地に積まれた土で秘密基地を作ったり。あらためて子ども頃のことを、楽しかったな、と思い起こすことができ幸いなのだと思いました。
現在は自分の想像力や詩的空想を付け加える余地の全くない高度な電子部品のおもちゃが蔓延していますが、もしかしたらそこに大人の知らない想像力や詩的空想を付け加えることが起こっているのかもしれません。子どもの遊びを尊重することの大切さと複雑さを思います。


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