四方からの風圧のなか、支えになったのが信仰だった。
「私は土の器」が口癖だった。弱くて力はないが、信仰という宝を盛ることができる。総裁になったのも「神の召し」。神に託された使命を果たす、との一心で5年の在任期間を無欠勤で通した。
国会に呼ばれると必ず、総裁室の奥の部屋で「恐れるな、わたしはあなたと共にいる」とイザヤ書の言葉が書かれた掛け軸に祈った。神が座標軸であり、人からどう思われるかは二の次だった。
元日本銀行総裁 速水優(はやみまさる)さん 2009年5月16日死去 朝日新聞より
土の器という言葉は第二コリント4章7節に出てくるパウロの言葉です。この4章は終わりには「ですから、私たちは勇気を失いません。たとい私たちの外なる人は衰えても、内なる人は日々新たにされています。今の時の軽い患難は、私たちのうちに働いて、測り知れない、重い永遠の栄光をもたらすからです。私たちは、見えるものにではなく、見えないものにこそ目を留めます。見えるものは一時的であり、見えないものはいつまでも続くからです。」(4章16-18節)と続きます。
自らが土の器であることを知っている者は常に希望に満ちた生き方ができるということでしょうか。