神さまのお招きには・・・

テリー・ケイ、『白い犬とワルツを』、兼武進・訳、新潮文庫、1995年発行。

主がサム・ピークをお遣わしになったのは、わたしが助けるということをご存じだからだ。それだけのことだ。余計なことを考える必要はない。子守唄みたいにわかりやすくて愛らしい、単純この上ない聖書の一節を材料にして、まるで世界の終末が来て善と悪とが大決戦をしているような大袈裟な話をでっち上げてしまう説教師もいるけれども、わたしは嫌だ。そんなのは人間のおぞましい恐怖心を食いものにしている。動物の死体から立ち昇る腐臭を嗅ぎつけて空を舞う禿鷹のようなものじゃない。わたしは善き隣人、善きサマリヤ人としてふるまった。それだけのことだ。しかし、神様のお招きには、それで十分ではないか。

228ページf

ドラマにもなったようです。主人公のサム・ピークは80代の男性。最愛の妻を亡くした後白い犬を見るようになります。彼にしか見えなかったのですが、不思議に他の家族にも見えるようになります。彼の子どもたちの中で二人が牧師になっています。後半同窓会に出席しようと一人車で出かけるのですが、迷ってしまいます。上記はそんな彼を助けた人物の言葉です。この人物は自らが近くの教会で説教奉仕をしている信徒です。

いたずらに終末論を語り人々の恐怖心をあおることを皮肉っている言葉ですが、著者の思いでしょうか。私も毎週説教をします。また週日聖書研究会や家庭集会で説教をします。いたずらに人々の恐怖心をあおるようなお話は私も嫌いですが、よく戒めていないとその誘惑に陥ることもあるかもしれません。


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